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第1話 初代主人公&ヒロイン復活


 ここ葉月島で、人間と人間に近いモンスターが結婚出来るようになったのは約5年前のこと。

 春の生暖かい微風にその黒髪を靡かせられながら、自宅屋敷の裏庭に寝転がっている、葉月島葉月ギルドの副ギルド長兼、最強人間を謳われる超一流ハンター・リュウ(26歳)。
 腕の中には、自分の身体とは打って変わって、華奢で小柄な身体をしているブラックキャットという猫科モンスターの妻・キラがいた。
 キラは25歳であるが、大人になってからは老けない純モンスター故に、その外見年齢は20歳の頃から変わっていない。

 黒猫の耳に尾っぽ、真っ白な肌。
 陽に照らされて輝く銀色の長い髪の毛は、まるで一本一本がガラスで出来ているようだ。
 そのこの世に並ぶ者がいないほど整った顔立ちは、寝顔でさえもリュウの瞳を奪ってしまう。

 細い首に巻かれている赤い首輪は、野生のモンスターではないという証。
 リュウの妻であり、そしてペットであるという証。

 それに触れるリュウの指先が少し震える。

(キラ……)

 他にも首輪は持っているのだが、キラがこの首をつけているとときどき思い出すことがある。

(もう二度と、俺の前から消えようとするなよ……)

 キラとって大切な仲間と、何よりも大切な飼い主――リュウ。
 それを守るため、キラがこの首輪を自ら外したときがあった。

 そしてブラックキャットだけが持つ『破滅の呪文』を使って、この世から骨も残さず消滅しようとしたときがあった。

 キラはもう『破滅の呪文』は使えない。
 だが、あの日の恐怖は生涯リュウの中から消えてくれそうになかった。

(なあ、キラ…? もう二度とだ。もう二度と、俺の前から消えようとしないでくれ……)

 リュウの唇が、キラの黒猫の耳に重なる。

(俺はおまえ無しで生きていけるほど、強くねえ……)

 ぴくんと動いたキラの黒猫の耳。
 長い睫毛を生やした瞼が開き、大きな黄金の瞳がリュウの凛々しく整った顔立ちを捉える。

「リュウ……」

「悪い……、起こしちまったか」

 と、リュウの唇がキラの額に、頬に、唇に重なる。
 ついでに手はキラの胸へ。

 その手を掴みながら、キラが狼狽して声をあげる。

「…っ…おい、リュウっ……!」

「ああ、いつ触ってもでけー乳……」

「こ、こらっ、ダメなのだっ……!」

「挟みてー」

「き、聞いているのかリュウっ…! い、行くぞっ……!」

「え? もうイクのかよおまえ。俺まだ乳しか触ってな――」

 ビシッ

 と頭に竹刀が振り下ろされてきて、リュウの言葉が切れた。
 その竹刀を持っている者に顔を向けたリュウ。

「いてーよ」

 ゴスッ!!

 とゲンコツをお返しした。

 相手は4歳の息子である、長男・シュウだ。
 黒猫の尾っぽはキラから受け継いだものの、その黒髪や顔立ちはリュウと瓜二つ。

「いてーのはオレのほうだ、このエロオヤジ!」

 と頭を抱え、涙目になっているシュウは、リュウとキラの近くで剣術の修行中だった。

「うるせー、バカ息子。おまえも将来はエロエロだ」

「あんたといっしょにすんな! ああもう、いてーよおぉぉおおぉぉぉおう! このオニィィィィィィィィィィィ!」

 と泣き喚くシュウに、溜め息を吐いたリュウ。

「ったく、うるせーな」

 と言いながら、シュウのコブになった頭に治癒魔法を掛けてやる。
 ゲンコツを食らわせた上にバカ息子なんて言ったが、リュウにとってとても大切な息子である。

 キラが『破滅の呪文』を使う前から、リュウにはいくつか夢があった。
 1つ目は、キラと結婚して、子供を作って、家族皆で幸せに暮らして、最後にはキラと一緒の墓で眠ること。

 キラが『破滅の呪文』を使ったとき、それは消えてしまったかのように思えた。
 だからシュウが産まれたとき、リュウはどれだけ嬉しかったかことか。
 普段は滅多に泣かないのに、涙を流して喜んだのを覚えている。

 それからキラが初めてリュウの子を腹に宿したとき、仲間の間で男が産まれるか女が産まれるか話したことがあった。

『俺とキラの子なんだから、どっちでもいい』

 リュウはそんなことを言った。
 でも、男だったら名前はシュウ。
 女だったら名前はミラ。

 最初に産まれたのはシュウだったが、ミラはそれから半年後には産まれた。
 10ヶ月で産まれる人間と、2ヶ月で産まれる猫科モンスターの子――ハーフは、約5ヶ月で産まれるが故に。
 ちなみに現在、次女・サラと、双子の三女・リン、四女・ランもいる。

(ミラが産まれたら『絶対嫁にやらない』)

 あのとき、そう願って言ったのを覚えている。
 もちろん、サラとリン・ランが産まれたときも同じことを言ったが。
 これが2つ目の夢といえば、そうかもしれない。

(俺の可愛い黒猫――キラとの間に出来た大切な娘を、ヤロウなんぞにくれてやるかってんだ)

 それから、

(シュウが産まれたら『俺を継ぐ超一流ハンターにすること』)

 これがリュウの3つ目の夢だ。

(ハンターになれるのはその年で満16歳以上になる人間、または人間に近く、且つペットであるモンスター、そのハーフ。そして何よりも、普通の人間よりも強い力を持っている者だ)

 無論、シュウに力の心配はいらない。
 父親はもうバケモノ並に強いし、母親も最強を謳われるブラッキャットの中でも特に最強だ。
 その間に生まれたのだから、弱いわけがない。
 何もしなくたってハンターになれるだけの力は持っているだろう。

 だが、リュウの夢はあくまでもシュウを『俺を継ぐ超一流ハンターにすること』。
 弱くないからと言って、何もしなかったら到底叶う夢ではない。
 リュウ自身も年々強くなっているものだから、尚更だ。

「お、おい、リュウっ…!」とキラが声をあげる。「行くと言っているではないかっ……!」

「ったく仕方ねーな、俺の可愛い黒猫は。まだ乳しか触ってねえってのに――」

「おい!」と、リュウの言葉を遮ったシュウ。「ぜったいオヤジの言う『いく』と母さんが言う『いく』はちげーと思う!」

「ああ?」と眉を寄せたリュウが、キラに顔を向けて訊く。「イクんだろ? キラ」

「い、行くのだっ……!」

「ほら見ろシュウ。おまえはガキだからちょっとあっち向い――」

「病院にっ!」

「は?」

 病院に?

 と首をかしげたリュウ。
 大きくなっているキラの腹に顔を向け、狼狽して声をあげた。

「バッ、おまっ、産まれるのか!? 早く言えよ!」

「さ、さっきから言ってるではないか! 病院に行くと! リュウ、おまえの頭はどうしてそうスケベなのだっ!?」

 とキラに半ば驚愕されながら、ポケットから携帯電話を取り出したリュウ。
 リンクという同い年の親友の、そのペット――ホワイトキャットのミーナ(17歳)に電話を掛ける。

 ブラックキャットが黒猫の耳と尾っぽを持っているなら、ホワイトキャットは白猫の耳と尾っぽを持っている。
 また、魔法は『破滅の呪文』しか持たないブラックキャットに比べ、ホワイトキャットは豊富な魔法を持っていた。

「おい、ミーナか!?」

「うむ、ミーナだぞ、リュウ」

「産まれるから病院に瞬間移動頼む! 今裏庭だ!」

「おお、コウノトリが私の姉のようなキラの腹に宿していった子がついに出てくるか! 分かったぞ、すぐ行くぞ!」

 と電話の向こうから聞こえた数秒後、目の前にミーナが現れた。
 手にはしっかりと、リュウとキラの寝室に置いておいたお産のときに必要なものを詰めたバッグを持っている。
 リュウがキラを抱き上げ、いざ瞬間移動で葉月病院へと行こうかというとき、

「おい、オヤジ!」とシュウが呼び止めた。「もうこれでイモウトはいらねーからな!」

「んなこと俺に言われてもな。出来んのが女ばっかなんだから仕方ねーだろ。なんだ? おまえ。このハーレムが気に入らねえって言うのか」

「お・お・す・ぎ・る・ん・だ・よっ! そりゃイモウトは可愛いけど、オレは今でもすでにすげー苦労してんだよ! てか、子作りにはげむ時間があったらオレに次の剣じゅつ教えろよな!」

「安心しろ、シュウ。キラとのイトナミの時間は減らせねーが」

「へらせよっ!」

「今日キラがおまえの妹をさらに3匹無事に産み終わったら、おまえのことは今までに増してビシビシ鍛えてやる。おまえは将来、この俺を継ぐ超一流ハンターにならなきゃいけねー運命だからな。俺はおまえをまず……そうだな、一流以上でハンターデビューさせてやるよ」

「お、おうっ、オレがんばるっ……!」と、笑顔になったシュウだったが、はっとして顔を強張らせた。「――って、オ、オオオ、オヤジッ……!?」

「何だ」

「さっき、母さんがオレの何をさらに何匹ぶじに産みおわったらって言った……!?」

「おまえの妹をさらに3匹」

「――いっ、いらねえぇぇええぇぇええぇぇええぇぇええぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇえっ!!」

「じゃ、行ってくるから留守番しっかりな。妹たち守れなかったらどうなるか分かってんな? んじゃミーナ、瞬間移動頼む」

「うむ! では行ってくるぞ、シュウ♪」

「ま、待ってくれえぇぇええぇぇえええぇぇぇえぇぇえっ!!」

 とシュウが絶叫する中、リュウとキラ、ミーナはその場から消えて行った。

「母さん、3匹も出さないでえぇぇぇええぇぇええぇぇええぇぇええぇぇえぇぇええっ!!」
 
 
 
 
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